今回の記事では、多くの管理職の方から「このままでいいのだろうか」という悩みの声をいただいたので、現代の管理職が直面する課題と、その先にある可能性についてお話ししたいと思います。
ビジネス環境はかつてないスピードで変化しています。技術革新、働き方の多様化、価値観の変遷など、管理職を取り巻く状況は複雑化の一途をたどっています。こうした状況の中で、多くの管理職の方が自問自答しているのではないでしょうか。でも、こういった変化は同時に、新たな可能性を広げるチャンスでもあるんです。
【こんな方におすすめ】
☑管理職(中間管理職を含む)の方 ☑事業部門長/責任者の方 ☑新任管理職の方 ☑人事担当者の方 ☑人材育成担当者の方
管理職という立場の「しんどさ」、実はみんな感じています
「部下の育成ができていない」「成果を出せていない」「上からの要求と現場の間で板挟みになっている」「割に合わない」
こんな悩みを抱えている管理職の方、とても多いです。特に中間管理職の方は、さまざまな方向からのプレッシャーを受けながら日々仕事をしているのではないでしょうか。
よく管理職の「能力不足」が問題視されますが、実はそれは個人の責任というより、管理職に求められる役割そのものが複雑化・高度化していることが大きな要因なのです。簡単に言えば、ゴールポストが年々遠くなっているようなものです。
本来であれば、役割が変化したなら、組織側が管理職の役割を再定義したり、効果的に役割を担うための仕組みを再構築したりすることが必要なはずです。しかし現実には、「生じている役割変化に適切に対応することも、管理職に求められる役割の一つ」という期待のもと、必要な支援が十分に提供されていないケースが多いのです。
これって、「自転車に乗りながら自転車を修理してね」と言われているようなものですよね。簡単なことではありません。でも、多くの管理職の方がこの状況に置かれているんです。
プレイングマネージャーの現実的な課題
管理職の方が最も悩んでいるのが、「マネジメント」と「プレイヤー業務」の両立です。調査によると、プレイヤーとしての仕事も担っている課長の59%が、それによってマネジメント業務に支障が出ていると感じています。
これは本当に大きな数字です。半数以上の管理職が「本来やるべきマネジメントができていない」と感じているのです。ちょっと想像してみてください。医師の59%が「診療に支障が出ている」と言ったら、それは医療危機と言えるでしょう。同じように、これは組織にとっての危機と言えるかもしれません。
なぜプレイング業務から抜け出せないのか?理由は単純です:
最も多い理由として、「業務量が多く、自分もプレイヤーとして加わる必要があるため」(57.3%)が挙げられています。次いで、「部下の力量が不足しており、自分もプレイヤーとして加わる必要があるため」(37.3%)、「自分がプレイヤーとして加わらないと、当期のチームの業績が達成できないため」といった理由が続きます。
「チームの成果を出すためには自分が手を動かすしかない」と思っている方、とても多いのではないでしょうか。私自身も以前そう感じていました。ときには残業して資料を作り、データを分析し、「自分がやってしまったほうが楽」と思いながら、自分の時間を削っていました。
この状況は、まるで自分で自分の足を撃っているようなものです。マネージャーとしての仕事ができないから部下が育たず、部下が育たないからますます自分がプレイヤー業務をこなさなければならなくなる...この負のスパイラルに陥っている方も多いのではないでしょうか。
会社はあなたの負担を軽くしてくれるの?
ここで少し厳しい現実をお伝えします。
会社の3~5年先を考えた際の人や組織に関する課題の中で、「管理職の負荷軽減(役割の分業化)」を「計画や方針に盛り込まれているもの」として挙げた人事担当者は21.3%に留まり、さらに「最も重要度が高いもの」として挙げた人事担当者はわずか2.7%でした。
つまり、会社側は管理職の大変さを理解していても、実際に優先順位を上げて対策を講じるところまでは至っていないことが多いのです。「そうだよね、うちの会社もそうだ...」と思った方も多いのではないでしょうか。
もちろん、すべての会社がそうだというわけではありません。中には管理職の負担軽減に積極的に取り組んでいる企業もあります。しかし全体の傾向として、この問題の優先度は残念ながら高くないのが現状です。
管理職自身も現状を変えることの難しさを感じています。調査によると、50.3%の管理職が「部下に仕事を任せきれない」と回答しています。また、86.8%の管理職が、自分の業務における時間の使い方を変えることは難しいと感じているのです。
この数字を見ると、「自分だけじゃないんだ」と少し安心する一方で、「こんなにみんなが悩んでいるのに、なぜ状況は変わらないのだろう」という疑問も湧いてきますよね。
世代間ギャップという新たな課題
さらに、新たな挑戦として浮上しているのが「世代間ギャップ」です。調査によると、新たな場に挑戦した40代の中間管理職の約9割が、世代間ギャップに起因する課題に直面しているといいます。
これは非常に高い数字です。9割ですよ!ほとんどすべての管理職が、若い世代との価値観の違いに戸惑っているということです。
「なぜ若手はすぐに退職を考えるのか」「なぜプライベートを重視するのか」「なぜSNSでの発信にこだわるのか」...こういった疑問を持つ管理職の方も多いでしょう。
かつての「頑張れば報われる」「会社に尽くすべき」という価値観から、「ワークライフバランス」「自己実現」「個人の幸福」を重視する価値観へと、大きくシフトしています。この変化に対応できない管理職は、若手社員との間に溝を作ってしまう危険性があるのです。
変わりゆく管理職の役割
こうした状況の背景には、管理職に求められる役割そのものの変化があります。かつては「上からの指示を正確に部下に伝え、定型的な業務を効率よく遂行させる」ことが主な役割でした。いわば「指示を出す人」「監視する人」という位置づけだったのです。
しかし現代では、不確実性の高い環境下で自律的に意思決定を行い、多様なメンバーをまとめ、イノベーションを推進するなど、より高度で多岐にわたる役割が求められています。「コーチ」「メンター」「ファシリテーター」「ビジョナリー」...様々な顔を持つことが期待されているのです。
これは、まるで野球のピッチャーだけを務めていた人に、突然「キャッチャーも外野も内野も、時には監督も務めてね」と言われているようなものです。そりゃあ大変ですよね。
この役割の変化に、組織側の「役割の再定義」や「仕組みの再構築」が十分に対応できていないことが、管理職が役割を全うする上でのボトルネックとなっています。そして、この状況が続くことで、管理職自身の働きがいやモチベーションにも悪影響を与えかねません。
プレイング業務に追われ、本来行うべきマネジメント業務に時間を割けない状況は、管理職の達成感や成長実感を得にくくします。「自分は何のためにマネージャーになったのだろう」と疑問を抱える方も少なくないでしょう。
部下が求める「理想の上司像」の変化
さらに、部下が上司に求めるものも変わってきています。明治安田生命の調査によると、現代の部下は単に仕事を指示する上司よりも、人間関係を重視する上司を求める傾向があります。
"率先型"より"関係重視型"の上司を求めている傾向がうかがえるという結果が出ています。これは、部下が単に業務遂行を指示するリーダーシップだけでなく、親身に寄り添い、人間関係を重視するスタイルを求めていることを意味します。友達のような上司を求める新入社員もいるようです。
具体的な「理想の上司」のイメージとしては、「知性的・スマート」「親しみやすい」「優しい」「頼もしい」「落ち着きのある」といった特性が挙げられています。
これらの特性を見ると、「厳しくても成果を出せばいい」という昔ながらのイメージとは大きく異なることがわかります。現代の部下は、人間性や関係性を重視しているのです。
これは管理職にとってさらなる負担となり得ます。「業績達成」と「良好な人間関係構築」の両立は、簡単なことではありません。特に、自分自身がプレイヤー業務に追われている状況では、部下一人ひとりに向き合う時間を確保することすら難しいでしょう。
ですが、諦める必要はまったくありません。ここからが本題です。
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リスキリングが道を開く
変化の激しい現代、管理職に必要なのは「リスキリング(学び直し)」です。新しい知識やスキル、考え方を身につけることで、環境の変化に対応し、新たな可能性を切り拓くことができます。
リスキリングは単に「新しいことを学ぶ」というだけではありません。それは、自分自身の可能性を広げ、キャリアの選択肢を増やし、そして最終的には市場価値を高めることにつながります。管理職として直面する様々な課題に対応するための強力なツールなのです。
リスキリングによって得られた教訓は、個人だけでなく、所属する組織や他社にも応用できる価値があります。つまり、個人の学びが、組織全体の競争力向上や他の組織の参考になる知見となる可能性を秘めているのです。
自己変革への第一歩:具体的にどうすればいい?
リスキリングを始めるには、まず自分の現状と目標を明確にすることが大切です。「どんな管理職になりたいのか」「そのために何が足りないのか」を考えてみてください。
例えば、「部下に仕事を任せきれない」という課題があれば、権限委譲やコーチングについて学ぶことが有効です。「世代間ギャップを感じる」なら、異なる世代の価値観やコミュニケーションスタイルを理解する学びが役立つでしょう。
また、タイムマネジメントや優先順位付けのスキルを学ぶことで、過重な業務負荷の中でもマネジメントに時間を割く工夫ができるようになるかもしれません。心理的安全性を高めるためのリーダーシップスキルも、現代の管理職には欠かせないものです。
学ぶ方法はたくさんあります。オンラインコース、書籍、セミナー、メンターからの助言など。大切なのは、学んだことを実際の業務で試してみることです。理論と実践を結びつけることで、本当のスキルとして定着します。
とはいえ、忙しい毎日の中で新しいことを学ぶのは簡単ではありませんよね。小さな事から始めていくことをおすすめします。例えば、通勤時間に1つのポッドキャストを聴く、週に30分だけオンライン講座に取り組む、月に1冊ビジネス書を読む、といった具合に。無理なく続けられる範囲で始めてみてください。継続は力なりです。
組織の役割:個人の努力だけでは限界がある
個人の努力も大切ですが、組織の支援も不可欠です。日本経済団体連合会は、管理職の課題解決に向けて次のような提言を行っています:
- 実務的な負担を軽減し、業務のマネジメントや部下指導・育成に取り組める状況を組織的に整備すること
- より良いマネジメントの実践を可能とするためのOJT(仕事を通じた部下指導・育成)への制度的支援
- ミドルマネージャーの自律的な成長を支援するためのOFF-JT(企業内研修)の強化
- ミドルマネージャーのやる気や意欲を高める精神的な支援 これらの提言は、管理職個人だけでなく組織全体での取り組みが必要であることを示しています。リスキリングも、個人の努力だけでなく、組織がその機会を提供し、支援することで、より効果的になるのです。
あなたが所属する組織で、こうした支援が十分に行われているでしょうか?もし不十分だと感じるなら、必要な支援について上司や人事部門に提案してみるのも良いかもしれません。「こういう研修があったら参加したい」「マネジメント業務に集中するための時間が欲しい」など、具体的な要望を伝えることで、組織の意識も少しずつ変わっていく可能性があります。
リスキリングは一度だけではなく継続的なプロセス
リスキリングは一度行えば終わり、というものではありません。ビジネス環境や技術は常に変化し続けています。昨日有効だった知識やスキルが、明日には陳腐化しているかもしれないのです。
継続的に学び続ける姿勢こそが、変化の激しい時代を生き抜く管理職に最も求められる資質の一つとなるでしょう。「学び続ける」という姿勢自体が、部下にとっての良いロールモデルにもなります。
「管理職になったらもう学ぶことはない」という固定観念を捨て、「管理職だからこそ学び続ける」という意識を持ちましょう。それが、あなた自身の成長だけでなく、チーム全体の発展にもつながるのです。
未来の管理職へ:完璧を目指さなくていい
現代の管理職の道は、まるで霧のかかった山道を登るようなものです。どこに危険があるか分かりにくく、道のりも複雑で、時には重い荷物(プレイング業務)が肩に食い込み、立ち止まりたくなることもあるでしょう。
でも、理想の上司は完璧な人間ではないんです。完璧な人を目指して疲れ果てるより、常に学び続け、チームと共に成長することを楽しめる存在であることの方が大切です。
あなたがもし今、管理職としての役割に悩み、立ち止まっているように感じているのなら、それは決してあなた一人の問題ではありません。多くの管理職が、役割の変化や過重な負荷、部下との関係性など、様々な課題に直面しています。
しかし、大切なのは、その場に留まらないことです。立ち止まって景色を眺めるのではなく、自身のキャリアやスキルの現状認識と目標設定を調整し、新しいリスキリングで得られる知識やスキルの使い方を学ぶことです。
さいごに:一歩踏み出す勇気を
まずは今日からぜひ小さな一歩を踏み出してみませんか?一人で悩まず、同じ立場の仲間と学び合ったり、部下の声に耳を傾けたりすることから始めてもいいと思います。
TONOME Core(トノミー コア)
TONOME Coreは、AI搭載型の次世代1on1マネジメントプラットフォームです。
1on1のアジェンダをAIが自動で生成することで、準備にかかる時間を大幅に低減させると同時に、対話の質を高めることが出来ます。さらにAIが過去の1on1メモを把握することで、アクションアイテムのフォローアップや、アジェンダの偏りを避けた提案も行います。
また、会社の経営方針やMission, Vision, Value、メンバーのスキルやキャリア目標などの情報も考慮したAIとの対話を管理職がいつでも行える機能を持っています。
1on1を運用することは、マネージャー、メンバー双方に小さくない負担になることがあるため、使いやすいツールを活用することも一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。
TONOME Coreは、完全無料で使い始められます。

