今回は「新時代の管理職に求められるチカラ」について、一緒に考えていきたいと思います。

VUCAと呼ばれる予測困難な時代の中で、管理職の皆さんは日々様々な課題と格闘されていることでしょう。「部下の育成」と「自分自身のプレイヤー業務」の両立、多様化する部下への対応、そして経営層と現場の橋渡し役など、求められる役割は複雑化する一方です。

「管理職は大変だ」「罰ゲーム化している」ともとよく言われますが、その実態はどうなっているのでしょうか?どんなチカラが求められ、どう磨いていけばいいのでしょうか?

【こんな方におすすめ】

☑管理職(中間管理職を含む)の方 ☑事業部門長/責任者の方 ☑新任管理職の方 ☑人事担当者の方 ☑人材育成担当者の方

🚀 日本の管理職の現状:プレイヤー業務との戦い

調査によると、上場企業の課長クラスの多くが「プレイヤー業務」と「マネジメント業務」を兼務しており、業務の50%以上をプレイヤーとして費やしている管理職は40%を超えるそうです。リクルートワークス研究所の調査では、プレイング業務を行っている管理職はなんと82.3%にも上ります。

「うちのチームは忙しいから自分もプレイヤーとして動かないと…」

こう考える方も多いでしょう。実際、管理職がプレイング業務を行う最大の理由は「業務量が多く、自分も加わる必要があるため」(57.3%)だということです。

でも、ここで少し考えてみましょう。プレイヤー業務に時間を取られると、本来の管理職としての役割—部下の育成やチームのマネジメント—に十分な時間を割けなくなります。我々(TONOME株式会社)では、このような中長期に関わるマネジメントを「創造的マネジメント」と呼んでいます。創造的マネジメントに時間を割けなくなることで、育成やチームマネジメントが滞り、プレイング業務が増え、さらに創造的マネジメントに手が回らなくなる・・・この悪循環が、多くの管理職を「過負荷な状況」に追い込んでいるのです。

🌏 海外との比較で見えてくる、日本の管理職の特徴

日本とアメリカ、中国の管理職を比較した調査では、興味深い違いが浮かび上がります。

部下の人数(中央値)を見ると、日本が4.0人、アメリカが4.5人なのに対し、中国は17.5人と大きな差があります。また、日本の管理職は「従業員の一人である」と認識している割合が50.6%と、アメリカ(22.4%)や中国(29.5%)よりもずっと高いのです。(このデータは、産業構造などによるところも大きいため、単純比較として使うと少し誤った理解を生んでしまう部分もあると思うので、ご参考までに)

反対に「経営の一員である」と認識している割合は、日本は49.4%とアメリカ(77.6%)や中国(70.5%)に比べて低めです。これは、日本の管理職が経営よりも従業員寄りの立ち位置にいることを示しています。

「会社に対して心理的な距離を置いている」割合も、日本は50.3%とアメリカ(21.4%)や中国(12.0%)より高く、「3年後のキャリアをイメージできる」割合は日本が57.1%と、アメリカ(73.2%)や中国(84.7%)に比べて低いのです。

これらの数字から、日本の管理職は自分の役割や将来のキャリアに対して曖昧さを感じていることがわかります。

🤝 新時代のマネジメントの鍵:コミュニケーションの質

「昔は指示を出せば動いてくれたのに、今の若手は…」

こんな声も聞こえてきそうですが、時代とともに管理職に求められるコミュニケーションの質も変化しています。特に多様な部下を率いる現代の管理職には、一人ひとりの個性を尊重した対話が不可欠です。

法政大学の研究では、多様な部下をマネジメントする上で重要なリーダーシップ行動として「分化と統合を意識したコミュニケーション」が挙げられています。これは、異なる部下に対してその多様性を尊重し(分化)、かつ部門の目標や管理職自身の理解を浸透させる(統合)という両面からのアプローチです。

具体的な行動としては:

  • 部下の選択した方法についてしっかり説明してもらう「説明機会の提供」
  • 誰もが不満を言えるようにする「不満の表明しやすさ」
  • 相手への関心を示す努力
  • 部下それぞれに合わせた接し方の選択 など、相手を理解し、傾聴する姿勢が重要になります。

でも、これって実際にはなかなか難しいですよね。日々の業務に追われる中で、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取るのは容易ではありません。

🧠 心理的安全性を高める:1on1という武器

変化の激しい時代に組織が生き残るためには、「心理的安全性」が欠かせません。これは、チーム内で自分の意見や質問、懸念や失敗を気兼ねなく話せる状態のことです。

心理的安全性を高める具体的な方法として注目されているのが「1on1(ワン・オン・ワン)」です。日本ではヤフーが取り入れたことで広まったこの手法は、上司と部下が定期的に1対1で対話を行うものです。

1on1が注目されている背景はいくつかあります:

  • 始めやすさ:時間を取ることだけでも「自分を受け入れてもらえている」という実感が高まる

  • 先行事例:GoogleやMetaなど成功している企業も実践している 効果的な1on1を行うためのポイントをいくつか紹介します:

  • 週1回から月1回程度、定期的に実施する

  • 傾聴と質問を活用し、相手を理解しようとする

  • プライバシーが確保できる場所で行う

  • 議題は部下中心に、双方が関わって決める

  • 次回までの課題やTODOを整理する 逆に、こんな1on1はNGです:

  • 部下の話を最後まで聞かずに、一方的なアドバイスをする

  • 部下の発言や行動に評価を下す

  • 業務の話だけで終わってしまう

  • フィードバックを忘れる でも、実はいきなり関係性ができていない状態で、業務以外のテーマを話したり、部下中心に1on1を実施することは難しいです。ここにも関係性に応じたステップが本来存在します。

この点を考慮しないと、「せっかく時間を取ったのに部下が話してくれない」「何を話したらいいかわからない」となってしまい、期待する効果が得られず、忙しい日々の業務の波に飲まれ、形骸化してしまう道を辿ってしまうかもしれません。

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🌈 ダイバーシティ&インクルージョンと管理職

一部の見直しの動きもあるものの、企業の持続的成長には、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進が欠かせなくなっています。多様なバックグラウンドを持つ人々が組織の一員として受け入れられ、それぞれの違いを活かして協働できる状態を創り出すことは、創造性や競争力向上の鍵です。

D&Iを促進する管理職に求められるリーダーシップ行動として、以下の4つが特に重要とされています:

  • ビジョンの提示:職場の方針や自身の価値観・信念を部下に伝え、共有する
  • 多様性の尊重:部下一人ひとりの違いを理解し、それぞれの貢献を促す
  • 公平性:多様な部下が仕事をする上で、不公平感が生じないようにする
  • 傾聴:部下の話を積極的に聞く これらの行動が、職場の一員感や協働、創造性に肯定的な影響を与えることが確認されています。特に「多様性の尊重」が最も大きな影響を与えるそうです。

おもしろいことに、「ビジョンの提示」と「多様性の尊重」は、協働や創造的なアイディアの創出を促進する一方で、職場の対立や衝突を増大させる可能性もあるのだとか。これは、管理職が方向性を示し多様性を尊重することで、メンバーそれぞれの意見表明が促され、違いが明確になるためだと考えられます。

「多様な意見が出るのはいいけど、対立が増えると面倒だな…」

確かに、短期的には対立が増えるかもしれません。でも、そこで対立を避けるのではなく、建設的な議論へと導くのも管理職の大切な役割です。長期的には、多様な視点からの議論が組織の創造性を高めることにつながります。

💼 ジョブ型雇用と管理職の役割

働き方改革の推進もあり、日本企業でもジョブ型雇用への関心が高まっています。ジョブ型雇用とは、職務内容を定めて雇用契約を結ぶことで、すでに導入を始めている企業も増えてきました。

部下への指示の仕方は三カ国で大きな違いはありませんが、アメリカでは部下の能力を高めるマネジメントが行われ、職務と紐づいたストレッチ目標が設定されています。日本と中国では部下の意欲を高めるマネジメントが中心で、指示内容が腹落ちしないと部下は動いてくれない傾向があるようです。

「ジョブ型に移行すると、日本の良さが失われるのでは?」

そんな懸念もあるかもしれません。確かに、ジョブ型雇用の導入は管理職と会社の関係性を健全化する可能性がある一方で、職務範囲の曖昧さを前提とした日本企業の現場の対応力を損ね、人材の流動化を高める可能性もあります。

実際、日本では職務が明確な管理職の方が離職意向が高いという、アメリカや中国とは異なる結果も出ています。これは、日本でジョブ型雇用を導入している企業が、人材の流動性が高い外資系企業やIT企業などに多いためかもしれません。

✨ これからの管理職改革に向けたヒント

管理職が直面する様々な課題を解決し、企業の持続的な発展を支えるためには、管理職の在り方や役割を再定義する必要があります。

1. 役割の再定義とマネジメントの職能化

企業が必要としている職務を明確にし、ジョブ型の考え方を取り入れることは、従業員の自律的な成長を促進するための第一歩となります。また、マネジメントを職能として定義し、管理職に求められるスキルセットを明確にすることで、適切な人材を配置することが可能になります。

役割が膨らむ中で、管理職の役割を部分的に他者とシェアすることも一つの方法です。例えば、部下のキャリアに関する相談を管理職だけでなく、キャリア・コンサルタントと協力して担うなどが考えられます。

2. 管理職の負荷軽減とサポート

過重な負荷を負う管理職の現状を解決するためには、実務的な負担を軽減し、業務のマネジメントや部下指導・育成に十分取り組める状況を組織的に整備することが必要です。

管理職自身も「部下に仕事を任せきれない」と感じつつ、働き方を変えることが難しいと考えているケースが多いようです。

管理職が効果的に役割を果たすためには、トップ・マネジメントや人事部のサポートが不可欠です。より上位の管理職が、広い視野で仕組み構築や人員配置といった構造的な対応を行うことも重要です。

3. 権限の検討

管理職が人事施策の運用を含め、その役割を担う上で適切な権限を持っているか、役割に鑑みて必要な権限は何かといった議論も必要です。権限不足は、管理職の役割葛藤につながる可能性もあります。

4. 研修やツールの活用

管理職に必要なスキルセットの習得や、マネジメントの実践を支援するために、研修やツールの活用も有効です。1on1やフィードバックの方法論、ダイバーシティマネジメント、リーダーシップ、コーチングなど、管理職向けの様々な研修プログラムが提供されています。また、1on1支援ツールのように、日々のマネジメント業務をサポートするITツールも活用できます。

「研修を受けても、実務で使えなければ意味がない」

その通りです。研修で学んだことを実践に落とし込むには、日々の小さな実践の積み重ねが大切です。まずは小さな一歩から始めてみましょう。

💡 おわりに:未来のチームを育むチカラ

新時代の管理職に求められるチカラは、もはや単なる業務遂行能力や指示命令だけではありません。例えるなら、それは「未来のチームを育む庭師」のようなものです。

庭師は、それぞれの植物(メンバー)が持つ個性(多様性)を理解し、適切な土壌(心理的安全性)を整え、必要な手入れ(1on1、フィードバック、育成)を行います。時には、風向きや日当たり(環境変化)に合わせて植物の配置(ジョブ型)を工夫し、全体のバランス(インクルージョン)を考えながら、庭全体(チーム)が美しく、力強く成長できるようにサポートします。

変化の激しい時代において、管理職が一人で全てを抱え込むのは困難です。部下との対話を深め、心理的安全性を高める1on1を実践すること。多様なメンバーそれぞれの持ち味を理解し、D&Iを推進するリーダーシップを発揮すること。そして、自身の役割を明確にし、必要であれば組織からのサポートを得ること。

「理想はわかるけど、現実は厳しい…」

そう感じる方も多いでしょう。でも、一度にすべてを変える必要はありません。まずは自分のチームで小さな変化を起こすことから始めてみてはどうでしょうか。例えば、月に一度、30分だけでも1on1の時間を作ってみる。部下の多様性を尊重する姿勢を意識的に示してみる。そんな小さな一歩が、やがて大きな変化につながるかもしれません。

管理職の皆さんが、これらの新しいチカラを身につけ、部下一人ひとりと向き合い、多様なメンバーが輝けるチームを創り出していくことを心から応援しています。そして、組織としても、管理職がその役割を全うできるよう、必要な支援や仕組みづくりを継続していくことが求められているのです。

TONOME Core(トノミー コア)

TONOME Coreは、AI搭載型の次世代1on1マネジメントプラットフォームです。

1on1のアジェンダをAIが自動で生成することで、準備にかかる時間を大幅に低減させると同時に、対話の質を高めることが出来ます。さらにAIが過去の1on1メモを把握することで、アクションアイテムのフォローアップや、アジェンダの偏りを避けた提案も行います。

また、会社の経営方針やMission, Vision, Value、メンバーのスキルやキャリア目標などの情報も考慮したAIとの対話を管理職がいつでも行える機能を持っています。

1on1を運用することは、マネージャー、メンバー双方に小さくない負担になることがあるため、使いやすいツールを活用することも一つの選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

TONOME Coreは、完全無料で使い始められます。

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