4月に入社した新入社員が半年を迎え、フォローアップ面談の時期が近づくと、何を聞けば本音に届くのか迷ってしまうものですよね。同期の前では「順調です」と答えていた人が、配属先ではひとりで困っているかもしれません。そんな想像が頭をよぎるのは、あなたが一人ひとりを気にかけているからです。
配属先によって上司やOJT(職場内訓練)担当の関わり方はかなり違い、新人のあいだでは「配属ガチャ」「上司ガチャ」という言葉も出ています。その差が外から見えにくいのは、本人や上司の心がけだけでなく、困りごとを聞く場が配属先に任され、確かめる手段もないためです。
こんな場面に心当たりはありませんか。
● 「順調です」と返ってきた先を、どこまで聞いてよいのか迷ってしまう
● 配属先の上司やOJT担当が新人にどう関わっているのか、外からは確かめようがない
● 「辞めたい」と切り出されたとき、引き留めにならない返し方が見つからない
この記事では、入社半年の新入社員がつまずきやすい3つの理由と、面談で確かめる5つのことを紹介します。面談の分担表と、上司やOJT担当に渡す共有メモの項目も載せました。OJTの期間を1年とする職場なら、担当が離れるまでの残り半年で配属先との分担を決めておくと、来年4月の受け入れにも同じ仕組みを使えます。
それでは詳しく見ていきましょう。
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1. 新入社員のフォローアップ面談とは?研修との違いと目的
「フォローアップ研修があるのに、面談まで別に必要なのだろうか」と感じても無理はありません。まずはフォローアップ面談が何を確かめる場なのか、研修と比べながら整理します。
新入社員のフォローアップ面談とは、入社から一定の期間がたった新入社員と1対1で話し、仕事や職場へのなじみ具合と困りごとを確かめる面談です。入社3か月や半年、1年といった区切りに合わせて行い、次の期間に誰が何を支えるかを決めるところまでを含みます。
1.1. フォローアップ研修と面談では、聞ける話が違う
フォローアップ研修は同期と一緒に振り返る場で、フォローアップ面談は一人で話す場です。研修の目的は、仕事の振り返りと基本の確認、同期とのつながりづくりにあり、困っているのが自分だけではないと知る意味もあるでしょう。
一方で、上司との関係や仕事が合わないという迷いは、同期の前では口にしにくいことがあります。例えば、休憩時間に隣の同期から「配属先はどう?」と聞かれ、とっさに「順調だよ」と返す場面を想像してみてください。
周りが順調そうに見えるほど言葉を飲み込んでしまう人もいるため、一人ひとりの事情を聞くには、研修とは別に1対1の場が欠かせません。
1.2. 目的は、次の半年の支え方を決めること
あなたが時間をつくって話を聞いても、そのあとに何も動かなければ、新人には「話したのに何も変わらなかった」という経験が残ります。だからこそ面談の目的は、困りごとを確かめたうえで、次の半年に誰が何を支えるかを決めることです。
新入社員の離職防止も、フォローアップ面談を行う大切な理由の一つです。厚生労働省の「新規学卒就職者の離職状況」(2025年10月公表)は、2022年3月卒の就職後3年以内の離職率を示しています。
大卒は33.8%、高卒は37.9%で、大卒では事業所の規模による差も大きく、1,000人以上の事業所で27.0%、5人未満の事業所で57.5%です。
ただ、目的を離職防止だけに置くと、面談は「辞めそうかどうか」を探る場になりかねません。新人が探られていると感じると迷いを口にしにくくなるため、辞めるかどうかではなく、次の半年の過ごし方を話題の中心に置きましょう。
2. 入社半年の新入社員がつまずきやすい3つの理由
新人のつまずきに気づけなかったと感じても、自分を責める必要はありません。入社半年のつまずきは、本人の気質や上司の面倒見だけでは説明できず、選べないことと外から見えないことが重なって起こります。
2.1. 入社前や配属前の想像と、実際の仕事がずれる
入社前や配属前に思い描いた仕事と実際の仕事との違いは、半年がたつと本人にも見えてきます。例えば、企画の仕事を思い描いて入社したのに、配属先では資料の整理が毎日続いているとしたら、「思っていた仕事と違う」と感じても無理はありません。
日本能率協会マネジメントセンターの「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2025」は、2025年12月に公表されました。新入社員1,085名のうち、希望の部署や勤務地に配属されず「配属ガチャ」を感じた人は48.1%です。
上司・先輩1,589名では、配属された新入社員に当たり外れがある「新人ガチャ」を感じた人が67.3%いました。配属を当たり外れとして受け止めているのは、新人の側だけではありません。
「配属ガチャ」や「上司ガチャ」は、結果を選べないことを「ガチャ」になぞらえた言い方です。2021年の新語・流行語大賞でトップ10に入った「親ガチャ」と同じなぞらえ方です。
配属そのものは面談で変えられませんが、任された仕事の意味や期待の受け止め違いは、話し合えば小さくできます。そうした話をする場がなければ、違和感をすべて「ガチャ」のせいだと受け止めやすくなるものです。
2.2. 困ったときに聞ける相手が、配属先によって違う
困ったときに誰に聞けるかは、配属先の人の配置や忙しさで大きく変わります。OJT担当が外出の多い仕事を兼ねていたり、入社年次の近い先輩がいなかったりする職場も少なくありません。
分からないことが出てきても、忙しそうな先輩の背中を見て声をかけそびれる。あなたの職場にも、そんな昼下がりがあるかもしれません。何をどこまで聞いてよいのか目安がつかめず、同じことを二度聞くのは気が引けるという人もいます。
上司に聞けば評価に響くのではないかと考えて、ためらう人もいるでしょう。聞ける相手がいるかどうかは本人の積極性の問題に見えますが、本人の力では変えにくい条件にも左右されます。
2.3. 上司やOJT担当による差が、配属先の外から見えない
上司やOJT担当がどう関わっているかは、配属先の外からはほとんど見えません。リクルートマネジメントソリューションズは2026年6月、「若手の離職実態調査2026」を公表しました。
社会人1〜3年目の大卒・大学院卒の正社員968名に聞いた調査で、在職している人の62.2%が「会社を辞めたいと思ったことがある」と答えています。上司と仕事の進め方が合っているかどうかが、離職を考えることと関わっていたことも報告されました。
ただし示されているのは関わりで、上司しだいで辞めるかどうかが決まるという因果ではありません。進め方が合っているかどうかを配属先の外から確かめる役は、決まっていないことも少なくありません。
例えば、同じ時期に入社した二人のうち、一方は毎週のように上司から声をかけられ、もう一方は半年間ほとんど話す機会がなかったとします。それでも、その差を比べて確かめる場は配属先の外にありません。
上司は自分の関わり方をほかの上司と比べる機会が少なく、OJT担当も教え方がどう受け止められているかを知らないままのことがあります。新人の側も比べる相手が同期くらいで、「上司ガチャ」と呼ぶことはできても、進め方を変えてほしいと上司に伝える手段を持てずにいる人もいます。
3. 入社半年のフォローアップ面談で確かめる5つのこと
面談の時間は限られているのに、聞きたいことは次々に浮かんでくるものです。確かめるのは、仕事の全体像・できるようになったこと・聞ける相手・想像との違い・次の半年の5つです。
できていることから話し始め、困りごとを聞いたあと、次の半年の話で終える順番にしましょう。「順調?」と聞かれると「順調です」と答えるほかない人もいるため、「どう?」と大まかに聞くより、具体的な場面を尋ねるほうが中身のある答えにつながります。
| 確かめること | 聞き方の例 | 答えから分かること |
|---|---|---|
| 1. 仕事の全体像と自分の役割 | 「いまの仕事は、終わったあと誰に渡りますか」 | 自分の仕事がチームのどこにつながるかを理解しているか |
| 2. できるようになったこと | 「4月の自分と比べて、一人でできるようになったことは何ですか」 | 本人の手応えと、上司の見立てとの違い |
| 3. 困ったときに聞ける相手 | 「最近、分からないことを誰に聞きましたか」 | 聞ける相手が実際にいるか。いなければ、その理由 |
| 4. 入社前・配属前の想像との違い | 「入社前の想像と違ったことは何ですか。良い違いも教えてください」 | ずれの中身と、本人の受け止め方 |
| 5. 次の半年で伸ばしたいこと | 「次の半年で何ができるようになりたいですか。誰の力を借りたいですか」 | 本人の意欲の向きと、配属先に頼みたい支え |
3.1. 全体像と手応えは、具体的な仕事で聞く(1つ目・2つ目)
1つ目と2つ目は、いまできていることを、具体的な仕事の場面で確かめるための問いです。全体像は、「分かりますか」と聞くと「はい、大丈夫です」で終わりやすいので、いまの仕事が終わったあと誰に渡るかを尋ねてみてください。
答えに詰まるなら仕事の前後のつながりが見えていないのかもしれないので、上司やOJT担当に説明を頼む項目として、共有メモに残しておくと役立ちます。
手応えは、同期と比べると自分の遅れのほうが目につきやすいため、4月の自分と比べてもらうと言葉にしやすくなります。本人が挙げたことの中には上司がまだ気づいていないものもあるので、上司に伝えてよいかを確かめてから、共有メモに書きましょう。
3.2. 聞ける相手は、最後に聞いた場面で確かめる(3つ目)
「聞ける人はいますか」と尋ねても「はい」で終わりやすいため、3つ目は、最近分からないことを誰に聞いたかで確かめます。
この問いを投げかけたとき、あなたの前で少し間が空いたとします。名前がすぐに出てくれば聞ける関係はできていますが、答えに迷うようなら、聞いていない理由を続けて尋ねてみましょう。
理由には、OJT担当が忙しそうで声をかけにくい、何を聞いてよいか分からないといったものがあり、どれも本人の努力だけでは変えにくいものです。質問の時間を決めることや、聞いてよいことの例を示すことは、上司やOJT担当にしかできません。
3.3. 想像との違いと次の半年は、本人の言葉で残す(4つ目・5つ目)
4つ目と5つ目は本人の言葉のまま記録に残し、想像との違いは、良い違いから先に聞くと話しやすくなります。悪い違いだけを尋ねると、不満を言わせる場のように聞こえてしまうかもしれません。
例えば「営業をやりたかったのに、いまは事務の仕事が中心で」と打ち明けられたとします。配属は面談で変えられないと正直に伝えたうえで、いまの仕事で得られる経験と本人の希望とのつながりを、一緒に探していくのが現実的です。
次の半年で伸ばしたいことは、誰の力を借りたいかまで聞いておくと、上司やOJT担当に頼むことがはっきりします。
4. フォローアップ面談の進め方|配属先の外と中で役割を分ける
面談を一度開いて終わりにせず、その続きを誰が受け持つのかまで考えるのは、骨の折れる仕事です。そこで、配属先の外で行う面談と配属先の上司との1on1に分け、次の手順で進めてみてはいかがでしょうか。外の面談で困りごとを聞き、その続きを上司の1on1で引き受けてもらう分担です。
- 面談の目的と、話した内容の扱いを先に伝える
- 5つの問いを事前に渡しておく
- 配属先の外の面談者が、30分ほど1対1で話す
- 最後に、上司やOJT担当に伝えることを本人と決める
- 共有メモを渡し、上司の1on1で続きを話してもらう
- 1か月後に、決めたことの進み具合を本人に確かめる
手順1で伝えるのは、内容を評価に使わないことと、上司に伝える範囲を本人と決めることです。これを先に伝えないと、上司に伝わる前提で言葉を選びやすくなります。
手順6の確認は短くてかまいませんが、話したことが配属先で扱われたと本人に伝わるようにしましょう。
4.1. 誰が・いつ・どこで話すかを決める
配属先の外の面談は、新人の評価に関わらない人が担当するのが基本で、育成担当のほか、別の部署の先輩にメンターとして頼む形もあります。
役職よりも、新入社員から見て評価の外にいることが大切で、4つの場の分担は次の表のとおりです。
| 場 | 誰が | いつ | どこで | 主に確かめること |
|---|---|---|---|---|
| フォローアップ研修 | 育成担当 | 入社半年 | 集合研修 | 同期との振り返り、基本の確認 |
| 配属先の外での面談 | 育成担当や他部署のメンター | 研修の前後2週間以内 | 配属先から離れた部屋 | 5つのことと、上司に伝える範囲 |
| 上司の1on1 | 配属先の上司 | 月1回以上 | 職場の会議室 | 共有メモの続き、次の半年の目標 |
| OJTの振り返り | OJT担当 | 週1回15分 | 職場 | 仕事の進み具合、聞きたいこと |
4.2. 上司に伝える範囲は、本人と決める
面談で聞いた話を上司に伝えるかどうかは、面談の最後に本人と決めましょう。上司との関係の悩みを聞いたときほど、この手順を飛ばさずに進めることが欠かせません。
本人の同意なく上司に伝われば次から何も話してもらえなくなるおそれがあり、反対に何も伝えなければ、配属先では何も変わらないままです。
伝える内容は、そのまま伝えること・言い方を変えて伝えること・伝えないことの3つに分けて考えます。たとえば「OJT担当に質問しにくい」という悩みは、「質問する時間を決めてほしい」という頼みに言いかえて伝えると、OJT担当も受け取りやすいはずです。
4.3. 「辞めたい」と相談されたときは、変えられることを探す
「正直、辞めたいと思っています」と切り出されたとき、あなたは引き留める言葉を探したくなるかもしれません。ただ、先にすることは引き留めではなく、何があったのかを聞くことです。
2.3で挙げた調査では、在職している人の62.2%が辞めたいと思ったことがあると答えています。辞めたいと思うことと、実際に辞めることは同じではありません。
次に、配属や上司のように面談では変えられないことと、仕事の進め方や相談の相手のように変えられることを分けましょう。変えられることが見つかれば、次の1か月で試すことを本人と決めます。
異動のようにその場で約束できないことは、約束しないでおきましょう。退職を考え始めた人の変化がどこに表れやすいかは、離職の予兆はどこに出る?で紹介しています。
面談で本人と決めたことは、上司との1on1で続いているでしょうか。TONOME Coreは、1on1の対話をAIが記録・要約し、前回の宿題を次回のアジェンダに自動でつなげます。上司が変わっても、本人の強みや挑戦したいことの記録は引き継がれます。対話の内容を見られるのは、上司と部下の当事者だけです。TONOME Coreの詳細を見る
5. 上司やOJT担当による差を減らす仕組み
配属先ごとの関わり方の差を、外から変えるのは簡単ではありません。それでも、関わり方の最低限をそろえ、面談で分かったことを配属先に返す仕組みがあれば、差は小さくできます。
5.1. 上司とOJT担当に渡す共有メモの項目
面談のあとは、本人が同意した範囲で共有メモを作り、あなたから上司とOJT担当に渡しましょう。メモは1枚に収めて、次の1on1でそのまま使える形にしておくと、忙しい上司も目を通しやすくなります。
| 項目 | 書くこと | 気をつけること |
|---|---|---|
| できるようになったこと | 本人が挙げた手応えを、本人の言葉で | 面談者の評価は書かない |
| 説明してほしいこと | 仕事の前後のつながりなど | 「理解が浅い」などの見立ては書かない |
| 仕事の進め方の希望 | 質問の時間や報告の頻度など | 不満は頼みの形に言いかえる |
| 次の半年で伸ばしたいこと | 本人の目標と、力を借りたい相手 | 面談者が考えた目標にしない |
| 次に確かめる日 | 1か月後の日付と、確かめる人 | 本人にも同じ日を伝える |
面談者の見立てを書かないのは、上司が新人の評価者でもあり、評価の材料として読まれるおそれがあるからです。本人が伝えないと決めた話は、言い方を変えても書かないでおきましょう。
5.2. 新入社員との1on1に、最低限の決まりを置く
配属先の上司に新入社員との1on1を任せるなら、最低限の決まりだけはそろえておきましょう。決まりが多すぎると守られず少なすぎると上司ごとの差が残るため、たとえば次の4つなら、忙しい職場でも続けやすいはずです。
● 1回30分、月1回以上行う
● 最初の5分で、前回決めたことの進み具合を確かめる
● 延期したときは、1週間以内に日程を入れ直す
● 話した内容を、本人の同意なく評価に使わない
配属先の外から確かめるのは、1on1が行われているかどうかと間隔だけで足ります。中身まで確かめようとすると、上司も新人も、読まれる前提で話すようになりやすいからです。
5.3. 話したことを記録に残し、来年4月の受け入れに生かす
面談と1on1で話したことは、上司の記憶に頼らず、本人も確かめられる記録に残しましょう。記録があれば、異動などで上司が変わっても、新しい上司が本人の困りごとや伸ばしたいことを引き継げます。
今年の面談で多く出た困りごとは、来年4月の受け入れにも生かせます。たとえば「聞ける相手がいない」という声が多かった配属先なら、OJT担当の負担を見直すことや、入社年次の近い先輩を相談相手に加えることを検討しましょう。
そのとき見るのは配属先ごとの困りごとの傾向で十分で、中途入社や異動の人の受け入れ方は、中途採用のオンボーディングで詳しく紹介しています。
まとめ
● 新入社員のフォローアップ面談は、研修とは別に一人ひとりの困りごとを聞き、次の半年の支え方を決める場
● 入社半年の新入社員のつまずきは、想像とのずれ、配属先しだいの相談相手、外から見えない上司ごとの差から生まれやすい
● 5つのことを具体的な場面で聞き、本人と決めた範囲で共有メモを返すと、面談の続きを上司の1on1が引き受けられる
あなたが耳にする「順調です」の奥にある困りごとは、一人で話せる場と、話したことを配属先に返す手順がそろって初めて扱えます。まずはフォローアップ研修の前後に、配属先の外で30分話す枠を新入社員一人ひとりに用意するところから始めてみましょう。

