仕事が忙しくなると、やるべきことが抜け漏れてまったり、納期に間に合わず業務があふれてしまう。そのような経験はありませんか?

本記事では、スケジュール管理やタスクの優先順位をつけるのが苦手な方に向けて、役に立つような仕事術や考え方を全5回に分けてお伝えします。

第二回は、仕事があふれてしまいがちな人に特に多く見られる、「作業に集中することができない」や「先延ばしグセ」の傾向がある人に向けて、対策をお伝えします。

※この連載記事は、株式会社Kaienが監修・執筆しています。Kaienでは多数のジョブコーチを抱えて、様々な方の働き方を支援しています。(https://www.kaien-lab.com/

● 第一回 ビジネスパーソン必読!「優先順位の考え方」 ● 第二回 作業に集中できない方や先延ばしグセがある人におすすめの対処法 ● 第三回 仕事があふれてしまいがちな人のタイプ別「傾向と対策」 ● 第四回 仕事がデキる人が実践しているスケジュール管理テクニック ● 第五回 もしも仕事があふれそうになったら試してほしい対処法

はじめに

仕事があふれてしまいがちな人にはいくつかのタイプがあり、原因となる要素は人それぞれですし、対策も異なります。本記事では仕事があふれてしまいがちな人に特によく見られる、「作業に集中することができない」や「先延ばしグセ」の傾向がある人に向けた対策方法をお伝えします。

心当たりがあれば、ぜひ試してみてください。

1. 作業に集中することができない

その日にやるべきことがわかっているのに、作業に集中することができないままにいつの間にか時間がたっていて、1日が終わってみると、やるべきことが全く終わっていなかった。そんなことが頻繁にある人はこのタイプに該当するかもしれません。

目の前の作業への集中が削がれ、別なことに注意が向いてしまうことを「注意の転導性」といいます。例えば、作業中に他のことが気になってしまい、ついネットで調べてしまったり、横から聞こえてくる会話が気になって耳をそばだてる、などの行為がこれにあたります。

<対策>

そのような傾向がある方には、なるべく外部から入る情報を極力減らす方法が有効です。具体的には、目から入る「視覚情報」をなるべく少なくするために、デスクトップパーティションや衝立などを使って視界を遮る。あるいは、ノイズキャンセリングイヤホンやイヤーマフなどを使用し、周囲の音が聞こえないようにすることなどが対策として有効です。職場で相談することができそうなら、席替えも検討してみてください。比較的刺激の少ないオフィスの隅や、壁に面している席にを移してもらえるとよいでしょう。

自分の席に座っていると、同僚から声をかけられたり、電話が鳴ったりで、集中しづらい、ということもあるかもしれません。特に集中して作業に取り組みたい場合には、自席を離れて会議室や、比較的集中できるスペースに場所を移し、時間を決めて作業に取り組むことができます。その際には、PCのデスクトップ通知も一時停止するとよいでしょう。その場合、会議など時間が決まっている予定などの予定を忘れてしまい「集中しすぎて遅刻してしまった」ということが無いように注意してください。必要に応じてタイマーやスマホのアラームを活用するとよいでしょう。

2. 先延ばしグセ

前項の「作業に集中することができない」がとりかかった作業を集中して作業し続けることができないタイプだとすれば、「先延ばしグセ」は、そもそも作業にとりかかることが難しいタイプといえます。

このような傾向は脳のメカニズムが関係しています。誰かに褒められたときやなにかが成功したときに、嬉しく感じてもっと頑張ろうという気持ちになります。そのようなときに脳内の神経ネットワークに神経伝達物質が放出され、私たちにやる気を感じさせる。この神経ネットワークのことを「報酬系」といいます。先延ばしグセがある人は、この「報酬系」が一般的な水準と比較して、機能しづらい傾向があるのかもしれません。

<対策>

心当たりがある人に、ぜひ試していただきたいことが「ポモドーロ・テクニック」と呼ばれる時間管理術です。ビジネスや受験勉強など、多くの場面で世界中に広く活用されています。

なおポモドーロとはイタリア語で「トマト」のこと。ポモドーロ・テクニックの考案者であるイタリア人のフラチェスコ・シリロ氏が、トマト型のキッチンタイマーを使って時間を計測していたことに由来し、このような名前がつけられたそうです。

ポモドーロ・テクニックを実践するにあたって必要なものはタイマーのみです。やり方もごく簡単なので、手軽に始めることができる対処法です。やり方は以下の通りです。

  • タイマーを25分にセットする
  • 25分決めた作業を実行する
  • 25分後作業終了し、記録する
  • 5分間の休憩をとる
  • 1~4を4回繰り返すごとに長めの休憩をとる

先延ばしグセのある人がポモドーロ・テクニックを実践するうえでのポイントが、2点あります。

ひとつは、25分が経過したらたとえ途中でも作業を中断することです。「キリの良いところまで」と言いたくなるかもしれませんが、それでは25分作業→5分休憩の意味がなくなってしまいます。

25分という時間の区切りにも、脳科学的な意味があります。集中力には脳内伝達物質であるβエンドルフィンが影響しているといわれており、集中力・作業スピードをアップさせる効果があります。人が集中し始めるとβエンドルフィンが徐々に分泌され、15分から20分でピークに達し、そこから徐々に下降していきます。これが25分に1度の休憩が効果的と判断されている理由です。当然、個人差はあるので、25分を基準として自分に最適な時間を見つけるのが理想的でしょう。

二つ目のポイントは、「報酬系」を意識的に刺激することです。作業を終了したら忘れずに記録を付けましょう。この記録は単純に「できた・できない」のチェックマークなどでOKです。「できた」ということを記録するだけでも、脳に心地よい刺激となります。また、作業を終了し記録を付けたら5分の休憩をはさみます。深呼吸・目を閉じる・ストレッチなど、自分がリラックスしやすい方法で休憩するのが望ましいです。

報酬系を刺激する効果的なアレンジをもう一つお伝えします。ポモドーロ1回につき、「ランダムご褒美カード」を1枚引くことができる、というルールを作ることです。例えば「チョコレートを1枚食べる」や「SNSをチェックする」など、自分にとってご褒美になるようなことを、内容を変えて数枚作成して箱などのに入れ、集中して作業することができた場合には、ランダムに引き抜きカードに書いてあることを実行します。

報酬系が刺激されたときに放出される神経伝達物質であるドーパミンは、宝くじやスマホゲームの「ガチャ」のように、不確実性が高い状況で嬉しい出来事が起きたときによりたくさん分泌されるということが知られています。内容をランダムに、報酬(=ご褒美)を大小織り交ぜて数枚作成しましょう。

はじめのうちは効果を感じづらいかもしれませんが、一定期間継続することができれば、脳がポモドーロ・テクニックによって得られる報酬のリズムを学習し、以前より意欲的に作業に取り組むことが期待できます。

まとめ

仕事への集中力が続かなかったり、やるべきことを先延ばしにしてしまうタイプの人はしばしば、「自分の意志が弱い」や「集中力がないダメな人間だ」と、自らを責めてしまい、自己効力感を下げてしまう傾向があります。しかし、ここまでに説明した通り、それは人間性や意志の強さなどではなく、脳機能の特性が影響しているのかもしれません。

脳機能の特性は人により個別差があります。自分自身の脳特性を客観的に捉え、その特徴にあった自分なりの仕事の進め方や方法、様々なツールを取り入れることができるとよいでしょう。

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